“Oh good morning,
nami、きのうは楽しんだかね?
朝のバフェで ニコニコと 声をかけてきたのは いつも朝食で そばで 親しくなった トムとリリアンのカップルだ。
リリアンは台湾系アメリカ人で 今回は 台湾の実家に里帰りするのに船をえらんだとのこと。
混み合うバフェで 人を避けて 外のデッキで 食事をしに出るたびに あうので あいさつから、はじまって すっかり顔見知りとなった。
二人とも 日本が好きで 日本のテレビ番組もよく見るとのことで 特に NHKの”72時間”のファンだそうだ。
番組で みた 地方のうどんの自動販売機を探していったりして楽しんでいるらしい。
”那覇は おいしいものがたくさんあるから こまるわね~
なにか、かいものはした?
那美は 行きつけの 沖縄漆器の店の話をして 二人は次は訪ねようと 顔を合わせている。
”ところで 昨日は 誰か 亡くなったね。救急車が 港に着ていたよ。
と トム。
”全部覆われて運ばれて行ったぞ。私は デッキを歩いていて、見たんだ、 たまにあることだからな。
”そうそう、私も見たぞ”と そばのテーブルから やはりアメリカ人らしい、 男性が いってくる。
”私は、船から水葬にしてもらうことになってるからな、突然何かあっても平気なんだよ”と 得意げにトムが いうと
となりの彼も ”私もだよ
那美が ”私も そうしてほしいな~ 地面に埋められるのはいやだわ”と 賛同する。
”君は ダメだよ。私は海軍で たのんであるんだ。残念だがな~
と嬉しそうに トムがいうと もう一人も海軍らしく うんうんと二人で うれしそうだ。
海の男は とことん、海が好きらしい。かわいいくらい得意そうで ほほえましい。
”那美はまだ 知らないだろうが クルーズ中に亡くなる人など そんなにめずらしくないんだよ、年配が多いだろう。
食事中に急に倒れたり。朝起きてこなかったりな。
”クルーズ中に突然死なんて理想の死に方ね”と 那美は本心から思った。
”だろう?だから クルーズを続けるのさ~
たしかにね、アンもケヴィンも そのようだし、周りもそんな乗客は たくさんだ。
アンとは 特別に約束をしていなくても あちらこちらで 出会うから 縁が深いのかもしれない。
船長のウェルカムパーティの夜も 浴衣をきて、上手に帯をむすんだアンにであって、写真を一緒に取らせてもらった。
ほかの外国人なども 声をかけて 浴衣話で盛り上がっている。
自分は 余り、日本びいきでない それもふるさと感の薄い東京人なので 外国人の日本びいきに合うとうれしい反面、苦笑いしそうになってしまうので、 きをつけなくてはならない。
日本好きな人は 本当に気に入ってくれているのだから。
この、パールスターも 日本回りなので 日本人スタッフが多いのだが そうでないスタッフは結構日本びいきで ウェイターなども あれこれ 日本話に盛り上がる。
海外に行くと 日本を再発見するというけれど こういう感じかしらと那美は 思いながらも 嬉しそうに渋谷の話などする フィリピン人ウェイターや トルコ人バーテンダーなどの話に つきあっている。
イタリア人の バフェの ヘッドウェイターは ”ブドウの級を もっている”と言うから何かと思ったら 剣道だった。
それも真剣を使うものとか。マニアックねーと いうと けっこう、嬉しそうだった。
那美は 毎日のエンターテインメントの多さに 選ぶのが
大変なのだが、なかでも、 トリビアは 特に気に入ったものの一つだ。
最初に何をするかもわからないので 、催すエクスプローラーラウンジにいって スタッフに どうやって参加するのか 聞いたとき、チームでするから、誰かとチームを組んで といわれ、どうしようかと 思っていると アジア系の女性に”よかったらいっらしゃいよ、一緒にしましょう”と誘われるままに 仲間にいれてもらったのが、 フィリピン人のファミリーで来ていた エリザだった。
エリザそのご主人、エリザの兄カップル、そしてお母さんのオフェリア、エリザの息子で、アメリカのMIT留学している優秀な ロベルト、そのほかにも 高齢のおじさんと、いとこのローズと大人数の大家族旅行のチームである。
ニコニコと 自己紹介と家族を紹介されおわったあと クイズ番組のような トリビアをした。今までにフィリピンの人は 出稼ぎの若い女性くらいしか知らなかった那美は ひっくり返るほどの スーパー賢いファミリーだった。
勿論、MITに行っているくらいなので、ロベルトは 勿論だが、どの人も 皆、何でも知っている。また出てくる問題も、歴史も文学も科学もあるし、 英語を頭の中で 訳して、知識を 探してまた英語に戻さなければならない那美には 難易度の高ーいものである。
その状況を説明すると、今度は問題の分からない英語をわかりやすく教えてくれる。その、賢いファミリーでも僅差で まけてしまって、 またくやしがることがひとしきり。
そのあとは、いろいろなことを聞いたり聞かれたり、あっという間に おしゃべりで1時間くらい過ごしてしまった。
鷹也とバフェにランチに上がることのなっているので またねと腰を上げると
次のトリビアでねと 約束ができてしまった。
”というわけでね、夕方のトリビアにも行くのよ。いっしょにいく?
”うーん、僕は いいかな~ じゃあ、きがえて、アトリウムのラウンジで 音楽を聴いているから、 おわったら、おいでよ、 ショーにいくだろ?
鷹也は トリビアには あまり関心はない。
”午後どうする? わたしはコーラスやってみようかな。
”僕はしょってきた本片づけるよ、、午前中ジムしたし、明日は 台湾につくだろ。
ちょっと、ガイドブックもみとこうかと思って、基隆だよね。
二人の予定が するすると決まって、夕方に待ち合わせする、バーの確認をしながら ランチバフェを楽しむ。
“ああ この プレッツエルがたまらないな、食べ過ぎそう。
那美は 焼きたてのプレッツエルの誘惑から 逃れられない。
”いいんじゃないの、 やきたてなんてなかなか ないよ。
僕は、この マフィンがいいですね~
二人とも、服が心配になるほど 食事がおいしいのだ。
と、目を上げるとアイスクリーム詰まった、コーンを なめなめあるいているアンが 片手を振りながら、プールサイドにむかっていく。
やっぱり縁が深い。
”あさね、トムが言っていたんだけど、昨日誰かが なくなって船降りたんだって。
救急車が迎えに来ていたそうよ、いいような悪いようなだね。
”いいんじゃないの、僕も素敵な部屋で 気が付いたら死んでいたとかいいね~
と鷹也は 眼を回して見せる。
”そうだよね~
毎日素敵な、部屋で 遊んだでばかりいればいい船、老人ホームに入るよりずーっといいなーと 夢見てしまう。
夕方のトリビアは 結局、エリザファミリーが勝利。
景品の プリンセスのロゴ入りマグネットを 意気揚々と部屋に持ち帰れた。
トリビア前に いった コーラスは スタッフのくれた プリントの中から3曲選んで みんなで練習して世界のおまつりなる催しで 発表するとのこと。
日本人5人とアメリカ人、オーストラリア人、イギリス人の女性5人に 男性は 外国人5人くらいのグループで 何回か練習しますといわれ、曲を選んで 練習した。男性とは 話もしなかったけれど、 女子同志はすぐ話に花が咲く。
日本人の女性は やはり、英語が苦手らしく、 仲間同士で 終るといなくなってしまったけど、隣になったイギリス人のベスが 池袋が 気に入った話をはじめて
那美の最寄りの線で 行けるところなので、ローカル話になっていると、 オーストラリア人のカイリーの息子さんが 結婚して江古田にいるのよなどというものだから、もっと、 盛り上がってしまった。
もしや、どこかで あっているかもねなどといいあって 本当にグローバル化だわと 那美の 気分が上がる。
寄港しなくてもすることがたくさんだし、クルーズってほんとに楽しいと
那美は 何時も夜の着替えをしながら思うだった。
(老人ホーム代わりにクルーズ いいわねぇ)